蒲倉村で宿を断られ行き倒れた旅の男
どんな伝承か
宝暦十年、五十四、五とみえる旅の男が守山領蒲倉村を訪れ、宿を貸してほしいと頼んだが断られた。翌日、その男が道に倒れて死んでいるのが見つかった。村役人が出て検視をおこなったものの、在所も名も分からない。どこからも沙汰がなかったため、村では立札を立ててそのまま蒲倉村に埋葬した。在所の知れぬ行き倒れ人については、様子を書き付けた札を立てて土葬せよという触れが出ており、その定めどおりの扱いであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
疫病と狐憑き-近世庶民の医療事情(昼田源四郎・1985年(昭和60年))
『疫病と狐憑き-近世庶民の医療事情』は、精神科医の昼田源四郎が昭和六十年に著した、江戸時代の村の医療を描く本である。奥州守山領(現・福島県郡山市の一部)の『御用留帳』を主な史料に、村人の暮らし、医師と医道修行、疫病と祈禱、湯治、乱心と狐憑き、受刑者の治療、行倒れの継ぎ送り、間引きと養育手当などを、書き下した原文を引いて跡づける。序と凡例、全八章、あとがき、注、索引からなり、発行所はみすず書房である。