大善寺村で発見された行倒れの死者
どんな伝承か
天保四年、守山領大善寺村で、夜の五ツ時に本寺からの帰り道をたどっていた僧が、路傍に人の倒れているのを見つけた。知らせを受けた村役人が出向き、医師にも診せたが、その者はすでに息絶えていた。名も在所も分からず、身元を明かすものは何も持っていなかった。守山領では、在所の知れぬ行き倒れ人については様子を書き付けた札を立てたうえで土葬すると、享保十八年の触れに定められていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
疫病と狐憑き-近世庶民の医療事情(昼田源四郎・昭和中期(推定))
本書は江戸時代の陸奥奥州守山藩領における『御用留帳』を史料とした、近世農村の医療事情と心霊現象の研究である。狐憑きや物付きなどの精神疾患が、祈禱や指籠入れ(座敷牢)によって治療された実例を14件詳述する。天明・天保の飢饉や流行疫病(疱瘡、麻疹、コレラ等)への対応と並行して、乱心者の社会的処遇、責任能力の鑑別問題、欠落(逃亡)との区別が論じられている。