松山で野宿し安駄送りされた常松
どんな伝承か
天保七年、今泉知行所の日雇稼ぎ常松が、守山領守山町の松山で火を焚いているところを見とがめられた。訊ねると、村に泊めてもらえなかったので野宿していたのだという。年は五十七、すでに病人の体で歩くこともままならず、安駄送りで送ってほしいと願い出た。村では医師に診せ、食事を取らせたうえで、村継ぎによって送り出した。守山領では行き倒れの旅人であっても医者にかけ、村から村へ継いで在所まで送り返す扱いがなされていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
疫病と狐憑き-近世庶民の医療事情(昼田源四郎・1985年(昭和60年))
『疫病と狐憑き-近世庶民の医療事情』は、精神科医の昼田源四郎が昭和六十年に著した、江戸時代の村の医療を描く本である。奥州守山領(現・福島県郡山市の一部)の『御用留帳』を主な史料に、村人の暮らし、医師と医道修行、疫病と祈禱、湯治、乱心と狐憑き、受刑者の治療、行倒れの継ぎ送り、間引きと養育手当などを、書き下した原文を引いて跡づける。序と凡例、全八章、あとがき、注、索引からなり、発行所はみすず書房である。