宇都宮から来て病んだ庄左衛門
どんな伝承か
天保十年、会津領富岡村の出で日雇い稼ぎをしていた庄左衛門が、宇都宮から守山領守山町へ来て町内で働いていたが、やがて病を得た。年は四十七であった。村ではその扱いを協議したところ、本人が在所へ帰りたいと望んだため、安駄送りによって国元へ送り返すことになった。守山領の記録には、こうして病んだ旅人を医師にかけ、村継ぎで在所まで送り出した例がいくつも書き留められている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
疫病と狐憑き-近世庶民の医療事情(昼田源四郎・昭和中期(推定))
本書は江戸時代の陸奥奥州守山藩領における『御用留帳』を史料とした、近世農村の医療事情と心霊現象の研究である。狐憑きや物付きなどの精神疾患が、祈禱や指籠入れ(座敷牢)によって治療された実例を14件詳述する。天明・天保の飢饉や流行疫病(疱瘡、麻疹、コレラ等)への対応と並行して、乱心者の社会的処遇、責任能力の鑑別問題、欠落(逃亡)との区別が論じられている。