別府の地獄めぐりで見た件の剥製
どんな伝承か
クダン(件)は、人面牛身で生まれてすぐに凶事を予言して死ぬとされる怪物で、その剥製が見世物として各地で展覧された。漫画家の水木しげるは『日本妖怪大全』などのクダンの項で、別府の地獄めぐりに行ったとき「くだんの剥製」を見て驚いたと記している。大正十五年に兵庫県豊岡で提出された見世物興行の願書には、頭二つ・上人間下牛の模型の製作者として「大分県別府市西立田町 標本制作所 道場小太郎」の名が見え、明治末から昭和前期にクダンの剥製が見世物になっていたことがうかがえる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。