城山の麓でつけてくる送り狼
どんな伝承か
真庭郡美川村の女が、隣村からの帰り道、ナメラスジと呼ばれる城山の麓のさびしい道にさしかかった。すると背後で何かがひたひたと音を立て、あとをついてくる。これは送り狼と呼ばれる怪異で、決して振り返ってはならないとされている。女はわき目もふらず一里ほどの夜道を急ぎ、ようやく家に帰り着いて表戸を閉め、隙間からそっと外をうかがった。すると闇の中から、爛々と輝く二つの目がじっとこちらを見つめていた。思わず大声をあげると、光るものはたちまち消え去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。