蓮の葉に乗って渓流を下る
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どんな伝承か
語り手が五歳だった昭和初年頃の話。父は丹毒で五所川原町(現・市)の病院に入院し、日増しに衰弱して危篤となり、数日後に絶命した。医者がただちに気管を切開して人工呼吸を続けたところ、奇跡的に蘇生した。父はこの仮死のあいだのことをこう語った。まず柔道の絞技で気絶するような断末魔の苦しみが数秒あり、急に楽になってすっくと立ち上がると、両足は二枚の大きな蓮華の葉に乗っていた。両手に位牌を捧げ持ち、澄み切った深山の渓流を流れに任せて下ってゆく。眼前には薄桃色の蓮の花が咲き乱れ、両岸には空にも届くばかりの断崖が聳え、緑の松が枝を伸ばしていた。全身に砕けんばかりの衝撃を感じた途端、我に返ったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。
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五所川原市の伝承
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