酒飲み競べで閻魔と組み合った倅
どんな伝承か
五箇のおり婆さんが死んで生き返ってから八年たったときのことである。二十五歳になった倅が、若い衆の寄り合いで酒飲み競べをして倒れた。七転八倒の苦悶が続き、仲間が酒を飲ませたり介抱したりしても、大力でとても抑えきれない。やがて鎮まると、倅は夢うつつのうちに、お前は俺の母親か、俺もそっちさ行ぐぞい、白い着物でないとだめか、などとつぶやいた。醒めたのち仲間に語るには、花の咲く山道を行くと川原に出て、閻魔と力いっぱい組み合ったがかなわず降参した。川の向こう側で石積みをする母親や兄や叔父が見え、その着物では戻れと押し返された。母は馬鹿酒を慎めと戒め、叔父は体が小さくて相撲取りになれなかったのが心残りだと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。