真冬の座敷に舞い込んだ白い鳩
どんな伝承か
昭和十六年頃のことである。旧暦の正月で、外は屋根まで雪が積もっていた。語り手は祖父と父と母の四人で真ん中の座敷に寝ていたが、そこへ突然、真っ白い大きな鳩が飛んで来た。父がつかまえろと言い、語り手と母が箒を持って追いかけた。鳩は座敷のあちこちを飛びまわり、逃げないように戸を閉めろと騒いでいるうちに、煙出しから逃げていってしまった。ところが不思議なことに、その鳩は一緒に寝ていた祖父には見えなかったという。祖父はそれを聞くと、兄っつあんが死んだのではないかと言い、行ってみると、やはり祖父の兄が死んでいた。父が家督息子なので、祖父の兄の魂が鳩になって父のところへ来たのだろうということになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。