母が亡くなったのは昭和五十六年です
どんな伝承か
栃木県宇都宮市の話者小倉嘉子さんの母は昭和五十六年、甲状腺ガンの手術で気管切開し、言葉を失った。三日で筆談を身につけ、意思疎通を保った。母が亡くなる三日前、疲れて眠ろうとすると唇の上に草色の虫がとまる不思議な体験が続いた。母の死後、通夜の祭壇にも同じ虫が現れ、家族は「おばあちゃまらしい」と語り合った。息子が草むらに放したはずの虫は、後日ミイラの姿で同じ場所に見つかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。