布団をめくる大沢内のお化け
どんな伝承か
ヒバ材の産地として知られる北津軽郡中里村の大沢内部落は、戸数百三十の豊かな山村だったが、昭和三十二年十二月二十八日、突如としてお化け騒動に見舞われた。部落でただ一人のよそ者、田中運吉は氏神様の境内に堀立小屋を建てて親子三人で住んでいた。その夜半、掛布団の裾がめくり上げられ、次いで横がふわりと持ち上がり、布団の上から拳骨で叩かれるような気もした。妻と中学二年の息子も同じ目に遭っていた。噂を聞いた若者五人が泊まると、風もないのに自在カギに掛かった鉄瓶が揺れ、囲炉裏の灰が舞い上がった。やがて流しから包丁が飛んで布団が切り裂かれるに至り、恐山のゴミソのハル婆さんが祈禱すると現象は止んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の世界 ― 心霊科学入門(板谷樹・宮沢虎雄・1971年(昭和46年))
『霊魂の世界――心霊科学入門』は、板谷樹と宮沢虎雄が昭和四十六年に著した心霊科学の入門書である。古代の霊魂観や内外の幽霊の記録に始まり、ハイズビル事件と英米の心霊研究学会の創立、霊視・霊言などの精神的現象、物質化や心霊写真などの物理的現象、心霊治療、死と再生までを、日本心霊科学協会での実験や勝五郎再生の現地調査を交えて述べる。全十二章からなり、昭和四十二年に徳間書店から出た同題の本に筆を加え、同協会が自費出版したものである。