被服廠で死んだ友からの葉書
どんな伝承か
関東大震災の翌年のこと。ある雑誌社の若い記者のもとへ、長く音信の絶えていた友人の生田可久から葉書が届いた。何月何日に芳賀先生を訪ねるので一緒に行かないか、という誘いである。記者は懐かしくなって当日を心待ちにしたが、外せない用事が入って行けずじまいになった。後日、共通の友人にその話をすると相手は吹き出し、生田は被服廠で死んだではないかと言う。信じられずに帰宅し、状差しに挿しておいたはずの葉書を探したが、いくら探しても見つからなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))
『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。