長尾夫人の透視実験 - 乾板感光実験
どんな伝承か
福来は、白紙に稀薄な硝酸銀液で哉天兆と書いた炙り出し文字と、同じ三字を撮影した未現像の乾板とを、黒紙に包んで菊地学士のもとへ送り、長尾夫人に透視させた。十二月十一日、離れ座敷で行われた実験で、夫人は無我の境に入り、四分弱で「哉天兆」と自書した。ただちに車夫を走らせて封入の白紙を取り寄せ、火に炙ると、薄赤く哉天兆の三字が現れ、透視の答と一致した。これによって、霊能者は普通人には見ることのできない未現像乾板の撮影物象をも透視しうるという、心霊研究上の一新事実が確定した。そしてこの実験が端緒となって、念写という大問題が生まれてくるのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。