心筋梗塞の床で得た不思議な平静
どんな伝承か
名古屋で内科医院を開業していた毛利孝一さんは、昭和二十五年、四十歳のときに最初の臨死体験に近い経験をした。久しぶりに再会した戦友と痛飲したあと駅まで送り、駅のブリッジを渡るときに心筋梗塞の発作を起こした。酔っていたため軽い不整脈だろうと考えて帰宅して寝たが、翌朝になっても不整脈はひどくなり、診察の結果心筋梗塞と判明した。目が覚めたとき気持ちはひどく落ち着き、最高血圧が八十ほどまで下がる中で時々意識が消えていったが、「これで死ねるなら死ぬのは楽なことだ」と感じるほど静かで安楽な気分だったという。
原典より
久しぶりに会った戦友と痛飲してから駅に送り、駅のブリッジを渡るときに心筋梗塞の発作を起こした。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。