良寛の掛け軸と消えた生への執着
どんな伝承か
退院して三ヶ月ほど経ったある朝、顔を洗っていた毛利孝一さんの頭に、良寛の「死ぬる時節には死ぬがよく候」という言葉がふと浮かんだ。押入れから久しぶりに良寛の掛け軸を取り出して読むと、托鉢の途中で俄か雨に遭い古い祠で雨宿りする様子を詠んだ詩にしみじみと感動した。そして「いつ死んでもいい、身軽に死ねる」という気持ちになり、良寛のように生への執着が完全に自分から消えていることに気づいたという。臨死体験の事後効果と考えられている。
原典より
良寛のように、生への執着が完全に自分から消えていることを発見したのだという。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。