川の向こうで手招きする天使たち
どんな伝承か
天童市の角沢昭子は七年前、強度の心身衰弱で重態となり、薄れゆく意識の中で子供たちに別れを告げた。三人の名を順に呼び、もう二度と会えない、力を合わせて生きていくのよと頭の中で叫ぶと、体の力が抜け、グワングワンという大音響が聞こえてきた。その音とともに体が旋回しながら奈落の底へ、渦潮に巻きこまれるように落ちていった。気がつくと、ものすごく広い草原の中に一人で立っていた。目の前に幅の広い川があり、向こう岸には大勢の天使がやわらかな手でおいでおいでをしている。その顔は家のテレビの上に飾ったキューピーと同じ顔で、自然と笑顔になった。だが川幅は広く橋もなく、焦るばかりのうちに我に返った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。