二十歳の姿のままの天狗白石左司馬
どんな伝承か
天狗の弟子寅吉が語るところでは、常陸の岩間山の天狗界では首領杉山僧正の弟、熙道僧正の下に、人間の出から山人となった剛の者たちが仕えて師の働きを助けていた。そのひとり白石左司馬は、天狗界での寅吉の無二の親友で、修行の上では先輩にあたる。左司馬は人の世にいたころの名を信田豊前といい、もとは妙義の社人だったが、元禄十三年三月五日、二十歳のときに天狗の世界へ入った。それからのちもずっと、その姿は二十歳ほどのままに見えるという。
原典より
人間界にあった時の名を信田豊前といい、もとは妙義の社人であったが、元禄十三年三月五日、二十歳のときに彼の界に入り、その後もずっと二十歳ぐらいの姿に見えるそうである。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。