毎日空を飛んで岩間山に通った寅吉
どんな伝承か
壺で南台丈へ行った翌日の昼過ぎ、寅吉が一人で五条天神へ行くと老人が待っていて、寅吉を背負って空を飛び、たちまち例の山へ連れて行った。その日は何も教えず、山から山へ連れ回して遊ばせ、夕方になるとまた背負って家の近くまで送り届けた。こうしたことが毎日続いたが、家の者は寅吉が下谷広小路の井口という茶舗の息子のところへ遊びに行っているとばかり思っていた。連れて行かれる山は初め南台丈だったが、のちに同じ常陸の岩間山に変わった。これが寅吉の岩間山天狗界入りの始まりで、以後八年にわたって幽冥界に出入りしたという。
原典より
老人に連れられて行った山は、初めは南台丈であったが、後には同国の岩間山へ伴なわれた。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。