鉄砲鍛冶を驚かせた仙家の風炮
どんな伝承か
文政三年十月十一日、佐藤信淵は江戸の平田篤胤の家で、国学者屋代弘賢および鉄砲鍛冶国友能当とともに、天狗の弟子入りをしたという奇童寅吉に初めて会った。信淵が同年十二月十日付で『気炮記』に寄せた後記によれば、国友藤兵衛能当は江州国友村の住人で代々官の鉄炮鍛冶であり、この度風炮を製して一時その名を振るった。ところが白石平馬と名乗る寅吉が、風炮などは仙家においては種々の妙機があってこの製は甚だ粗いと説くのを聞き、能当は大いに胆を潰し、この頃は平馬に従ってその法を伝授し、又々仙家の風炮の製作に取りかかったという。
原典より
国友も天狗界の風炮製作の妙理を聞いて大いに胆を潰し、此頃は右の白石平馬に従て其法を伝授し、又々仙家の風炮の製に取かかれり。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。