くくり罠のイノシシを盗んで射殺
どんな伝承か
著者の姻戚に狩猟を趣味とする男性がいた。平成十年代の後半のある日、その男性は仲間と二人、銃を持ち猟犬を連れて高知県西部の山間へ猟に入った。獲物を求めて山中を歩いていると犬が激しく吠えはじめ、見ると大きなイノシシがくくり罠にかかっていた。周囲には誰もいないが、じきに仕掛けた者が見回りに来るはずである。二人は失敬することで一致し、見つかれば警察沙汰になると焦りながら銃口を向けて射殺し、罠を外して近くの軽トラックまで引きずった。帰宅して解体し肉は山分けにされ、冷凍肉の一部は著者のもとにも回ってきたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。