ゴルフ場わきで餌をねだるタヌキ
どんな伝承か
平成十年代前半のある夜、午前二時か三時ごろ、著者は千葉県柏市のゴルフ場のわきを車で走っていた。すると前方の道路にタヌキが飛び出し、道の真ん中で動かなくなった。車を降りて近づくと、タヌキは著者の靴に顔をつけてくんくんと臭いをかぎ、何か食べ物を欲しがるようなしぐさを見せる。よく見ると腹が大きく、妊娠しているらしかった。あいにく何も持っておらず、タヌキは一、二分ほど離れなかったが、やがてゴルフ場のほうへ去っていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。