菅原神社の供え酒を飲み干すサル
どんな伝承か
富山県南砺市寿川で、平成二十四年に著者が話を聞いた昭和四年生まれの男性は、サルのいたずらについて意外な話をした。村の氏神である菅原神社にお供え物を狙ってサルがやってきて、何でも食べてしまううえ、酒まで飲むという。コップの酒はもちろん、銚子に入った酒まできれいに空にしてしまうので、近ごろは社殿の扉に鍵をかけるようにしたと男性は語った。猟師がいなくなったせいで、サルもクマもカモシカもずいぶん増えているともいう。サルが酒を好むとは、著者にとっても初めて聞く話だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。