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犬神持ちとされ薩摩へ逃げた九郎右衛門一家

所在地高知県土佐清水市下ノ加江
年代寛文12年(1672)
登場九郎右衛門、犬神持ちとされた百姓・一家の主
出典村の奇譚 ― 里の遺風

どんな伝承か

犬神筋への排斥がいかに厳しいものだったかを示す事件が、寛文十二年に土佐国で起きている。現在の高知県土佐清水市下ノ加江、もとの下萱浦に住んでいた百姓の九郎右衛門の一家九人が、そろって薩摩へ逃亡したのである。九郎右衛門の子の仁右衛門は薩摩藩の取り調べに、自分の家は代々犬神持ちで、親が近年みだりに人に犬神を憑けてしまい、諸人に対して面目がないと常々迷惑がっていた、他人を恨んではいないと訴えた。欠落は封建的身分秩序からの逃亡で死罪もありえた重罪である。それを覚悟で故郷を捨てたのは、村八分にひとしい排斥に耐えかねたためだろうと著者はみる。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))

『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。

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