被災地のタクシーに乗る亡き人
どんな伝承か
東日本大震災のあと、石巻市や気仙沼市のタクシー運転手が罹災者を乗せたという心霊体験を、工藤が克明に記録して話題になった。論文の著者はこれを、死後のコミュニケーションと呼ばれる現象の一種として位置づける。近しい人を失った者が、その死を受け入れ傷を乗り越えていく過程で経験する、新しい型の心霊現象とされるものである。提唱者のグッゲンハイム夫妻は、これを亡くなった家族や友人から直接かつ自発的に接触される霊的な経験と定義し、声や姿、匂い、触れられた感覚、気配、物が落ちるなど十二の類型を挙げ、全米二千人の調査では二割に見られたと報告している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異の類型と分布の時代変化に関する定量的分析の試み(鈴木晃志郎・于燕楠・E-journal GEO・2020年(令和2年))
『怪異の類型と分布の時代変化に関する定量的分析の試み』は、鈴木晃志郎と于燕楠が著し、二〇二〇年の『E-journal GEO』第十五巻第一号に載った調査報告である。大正期の富山県の新聞連載怪談を再編した『越中怪談紀行』と、ネット上に流布する富山県内の怪談とを比べ、怪異の主体の類型と心霊スポットの分布が約百年でどう変わったかを統計とGISで分析する。研究目的、隣接分野の研究の展望、研究方法、結果と考察の四章に、注と文献表を付す。