飯を食うと酔う醸造人間
どんな伝承か
千葉県の笹子徳重は、昭和三十二年に結核で安房郡鴨川町の東条病院に入院し、退院後から食事のたびに酒に酔う奇病に悩まされた。一滴も飲まないのに息は日本酒の匂いを放ち、会社では隠れて飲んでいると噂され、病院で監視しながら食事をさせると二時間ほどで酔いが回った。三十四年暮れに胃潰瘍の手術を受けると酔いはさらにひどくなり、会社も辞めた。千葉大の相磯和嘉教授が腸内の菌を調べ、真菌サッカロミーセスが異常に増えて腸の中で酒を造っているとつきとめた。胃を切ったあとの十二指腸が第二の胃になっており、再手術で治療したという。
原典より
食後、二時間ばかり経過、胃が消化しはじめた頃から、次第に酒に酔った状態が見えだした。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。