亡き芸者と戯れる質屋の若旦那
どんな伝承か
著者は、亡き妻と毎晩同衾するという川崎の話を聞いて、自分も戦争の最中に同様の事実を見たと語る。浅草の有名な質屋の若旦那が芸者を情人にしていたが、その女が死んでからのち、毎日すずしの蚊帳を吊って、昼でも夜でもおかまいなしにその中で亡き女と戯れていた。とても情熱的で、いくら脅してもやめようとしない。同席した小野博士は、体が衰弱しないかとかえって心配だと言い、婆やが後で洗濯に往生していると語った。著者は、こういうインテリはなお困る、こうなると催眠療法しかないが暗示がかからないと述べる。質屋の若旦那はとうとう半年で参ってしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。