三宅猪四郎が試した長尾郁子の透視
どんな伝承か
丸亀の長尾郁子の千里眼が報じられると、福来博士らが訪ねる前に、心理学者の三宅猪四郎が明治四十三年十一月六日と七日に実験した。疑いを捨てずに臨んだ三宅だったが、同行の岡野文学士が別室で半紙に書いて漆塗りの箱に入れた『東方の国』を郁子はそのまま当て、三宅自身が書いた『海山の南』では一度書き直したことまで言い当てた。ブリキ箱の印形は紫の円と線を見抜き、箱の柿も当てたが、種の数や巻きたばこの本数は一つずれ、試験中でない隣室の品を答えたこともあった。三宅は実地に見て驚き、怪しんだという。
原典より
氏は科學者としての充分の疑惑を以て臨んだが、實見するに及んで驚き且つ怪んだ。—— 靈魂に就いての奇話(本誌記者編・趣味の科學) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
靈魂に就いての奇話(本誌記者編・趣味の科學)
『靈魂に就いての奇話』は、本誌記者が編んで雑誌の連載欄「趣味の科學」に載せた心霊研究の読み物である。欧米の心霊研究が説く霊魂と死後の生活、エジソンの霊界通信機の構想、ノバスコシアの騒霊事件、亡き人が夢や姿で知らせた話などを、学者の説や新聞雑誌の記事から集めて紹介する。「死後の生活」「不思議の現象と心理研究」「千里眼念寫の奇現象」と題を替えて回を重ね、終回では長尾郁子の透視や渡邊偉哉の念写の実験記録を取り上げる。