松井忠治郎の千里眼
どんな伝承か
御船千鶴子や長尾郁子の千里眼の評判を聞いて、四方に霊能者が続出した。門脇鼎が統計して『心理時報』誌に載せた者だけでも二十八名にのぼり、その一人に、京都市第三高等小学校の生徒・松井忠治郎(十四歳)がいた。その動機は「千鶴子を模倣す」とされ、御船千鶴子の千里眼を模倣して透視能力を得たとされる一人であった。当時、こうした霊能者は各地に勃興したが、多くは千鶴子や郁子の悲劇を伝え聞き、詐偽と言われることを恐れて潜んでしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年))
『心霊哲学の現状』は、高橋五郎が大正八年に著した心霊研究の概説書である。英国のロッジが戦死した子レイモンドの霊と交わした冥界通信をはじめ、欧米の交霊術と霊媒の実例を訳して紹介し、日本の催眠術と千里眼の流行、御船千鶴子・長尾郁子の事件、霊光や念写までを論じる。篇と章に分け、心霊哲学とキリスト教、クリスチャン・サイエンス、淘宮術との関係や、太霊道など国内の霊術諸派も取り上げ、ところどころに評註を添える。