二十五年前の黄昏の絵の再現
どんな伝承か
大学に入ったばかりの頃、著者は新宿のデパートのギャラリーで一枚の絵に出会い、その前で身動きが取れなくなった。黄昏の暗いきらめきを捉えたその絵は、自分が畏れてきた光景そのものだった。金を工面して戻ったときには売却済みの札が貼られており、著者は三十分近く凝視して図柄と江田豊という名を胸に刻んだ。二十五年後、担当編集者がその話に惹かれて画家を探し当てる。個展は最初で最後、そこまで正確に覚えているのは買った人間しか考えられないと江田は驚き、行方の知れないその絵を、同じ技法で再現すると申し出た。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・現代)