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馬車から落ちた娘と期日を切った診断

所在地東京都文京区(帝国大学)
年代1885年(明治18)
登場医師エルヴィン・ベルツ、馬車から落ちた未婚女性
出典幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶

どんな伝承か

ベルツは狐憑きを「軽度の精神障害の一種」とみなし、憑かれていると思い込むこと自体が思慮を麻痺させて症状を招くと論じた。西欧の魔女狩りを引き合いに出し、信仰は病の伝染を助けるとまで言い切っている。一方で往診の場では民間の療法を頭ごなしに否定しなかった。馬車から落ちて激しく驚き、翌日には震えとうわ言に襲われた未婚の女性を診たとき、驚愕による思慮麻痺症と診断し、二日で治ると期日を切って約束する。二日後に行くと女は回復していた。家では老いた巫女が読経と秘法を行っていたが、ベルツは信を得れば誰でも同じ効き目を出せるはずだと述べている。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶(川村邦光・1989年(平成元年))

『幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶』は、川村邦光が一九八九年に著した近代日本の民衆の心性をめぐる論考である。明治の「血税一揆」の流言、トラホームと〈迷信〉、狐憑きと精神医学、「脳病」「神経病」、座敷牢と精神病者監護法、芦原将軍や出口なおの神がかり、祖先教と靖国の霊魂の管理を、新聞記事や医学書、調査報告から読み解く。はじめにの後に三部と終章「近代日本と霊魂の行方」を置き、あとがきで結ぶ。

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