正月の粥で豊凶を占う千栗八幡
どんな伝承か
佐賀県の北茂安村にある千栗八幡社では、正月の初めに粥を炊いておき、旧暦二月の初卯の日にその粥の様子を調べて、その年の作物の豊凶を見定める決まりになっている。著者は、このような占いの神事は全国の至るところにあり珍しいものではないとしながらも、九州を旅した途中で耳にした例として、三養基郡の綾部八幡社で幡の巻き方から風の災いを占う祭りと並べて書き留めている。
原典より
また北茂安村千栗八幡社にては、正月初めに粥をたき、旧二月初卯の日にその粥の状態を検して豊凶を判知することにきまっておる。—— 迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))
『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。