両国橋から錐を投げる疾瘡のまじない
どんな伝承か
井上円了が挙げる東京下等社会の迷信の一つ。疾瘡(できもの)を患う者が両国橋の中央まで行き、淡島大明神と念じて北の方角に向かい、錐を三本ずつ川の中へ投じながら礼拝すれば、その病が平癒するというまじないがあった。同様に本所業平橋の南蔵院では石地蔵を縄で縛って願をかけ、京橋の欄干では擬宝珠を荒縄でくくって頭痛平癒を祈ったという。円了はこれらをいずれも維新前の迷信として、文明の中心たる東京がまた迷信の中心でもあると評している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・明治(妖怪学))
『妖怪博士』井上円了による『迷信の諸相・宗教の真相』。迷信を道理に背くことを誤って信じる心理と定義し、妖怪学の立場から全国を巡遊して各地の迷信を実地に報告・批判する(迷信打破)。