故郷に建てた御殿と毎夜の大宴会
どんな伝承か
各地巡行で財を成した気合術師浜口熊嶽は、故郷長島に帰るたびに小学校や消防署へ多大な寄付をし、この土地と青年を愛した。大正二年、同町松本に敷地四百四十坪・建坪百四十坪の〈御殿〉を建て、町ではほとんど気合術を使わなかったが、たまの帰郷では褌一丁で大下駄を履いて闊歩し、毎夜知己を大広間に呼んで飲めや歌えの大宴会を開いたという逸話が残る。故郷は彼が唯一生きていると感じられる土地だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年))
『霊術家の饗宴』は、井村宏次が一九八三年に著した近代日本の霊術家の歴史である。明治から昭和初めにかけて、気合術・催眠術・霊子術などで民衆の病や苦しみを救おうとした霊術家たちの運動を、当時の新聞記事や刊行物、関係者の家族への取材をもとにたどる。プロローグと六章、エピローグからなり、浜口熊嶽、桑原天然、福来友吉と千里眼事件、太霊道の田中守平を章ごとに取りあげ、霊術ブームと取締法による衰退までを描く。