茶柱を移されて退院した入院患者
どんな伝承か
病状はすっかり良くなっているのに、自分では治ったと思えず、いつまでも入院を続けている患者がいた。ある朝、付き添いの人が、自分の湯のみに立った茶柱をこっそり病人の湯のみに移しておいた。すると病人はまもなく見違えるほど元気になり、自分から退院を申し出たという。済生会宇都宮病院の今中欣一氏が随筆に書いた話で、著者は、取るに足らない俗信も使いようによっては役に立つ例として紹介している。茶柱が立つと縁起がよいという俗信は、全国で知らない人がいないほど広まっている。
原典より
ある朝、つきそいの人が、自分の茶椀に立った茶柱を、そっと病人の茶椀にうつしておいた。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。