畑や藪を跳ねて香取詣でする鮭
どんな伝承か
『本朝俗諺志』には、香取神社の話として、毎年二尾の鮭がのぼってくることが記されているという。利根川の本流から半里も離れた所まで、水の通い路もない畑でも藪でも、鮭が跳ねながらやって来るのは不思議だというのである。著者は、香取神社と鮭の結びつきが信じられていたため、さかのぼる途中で陸に跳ね上がった鮭を、土地の人々が香取に参ろうとしているものとみて捕らえ、神社に納めたのだろうと推し量っている。
原典より
『本朝俗諺志』には、香取神社のはなしとして、やはり年々二尾の鮭がのぼってくることをのせ、利根の大川から半里もあるところを、水の便りなき畠でも藪(やぶ)でも踊り跳ねて来るのはふしぎだとあるという。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。