化粧清水で美女に化ける古狐
どんな伝承か
樋渡部落の西方約五百メートルの所に、粧坂という地字がある。けはい坂となまって呼ばれ、坂を下りた所に出沼川という川幅二メートルほどの小川が流れる。けはい坂の中ほどには化粧清水と称する直径一メートルほどの清水があった。その清水は狐の化粧する清水で、ここで狐が顔をつるりとなでると、たちまち美女に変身して道行く人をたぶらかしたという。相当の古狐で、まぶしい真昼に旧坂下町の麹商人が清水のそばで麹を一升ますで一つ二つと計って狐に取られたこともある。出沼川を渡った稲荷壇では、厩肥を運んで来た男が化かされ、見せ物のビードロ引きを夢中で覗いていたら馬に蹴られ、馬の尻の穴を覗いていたと分かった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史・自治体史(民俗))
福島県会津坂下町の自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説を網羅する。