二月一日の猫の年取りとガガホロ
どんな伝承か
三陸村では二月一日を正月の終わりと呼び、立ち木を燃やした。前日に餅をつき、当日は戸口の両脇へ松と栗の枝をさして、一尺ほどの松の枝の隅に餅をのせる。猫の年取りでもあり、猫の好む魚などを与えて馳走した。カラスにはガガホロといって餅をちぎって投げてやり、カラスはホロローと澄んだ声で鳴きながら、放り上げた餅を上手に食べたという。著者は、松と栗を戸口にさすのを厄神を防ぐ呪術、松の枝に餅をのせるのを厄神へ供える呪術とみている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に著した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と各地の採訪記録の事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、五章は書き下ろしで、章ごとに注を付す。