腰掛けると病むチビキの石
どんな伝承か
遠野郷青笹村の中館という所の道端に、ちょうど腰をかけたくなるような丸い石がある。村のある人が何気なく腰を下ろすと急に気分が悪くなり、帰ってから傷寒のような病に伏した。巫女に聞くと、それはもとチビキの石で、チビキとは血引き、人の生き血を石に塗ったのだという。著者が旧家老中館家の当主の友人に確かめると、生き血のことは分からないが、御維新の頃までは馬が死ぬと城から一里余りの悪路をここまで運び、首を斬って血を石に塗ったのは確かだと語ったという。
原典より
チビキは血引で人の生血を石に塗るのだと謂ふことであると話した。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。