浄瑠璃と鐘の音を真似た新田家の猫
どんな伝承か
同じ遠野の町の新田という人の家の飼い猫は、よく物真似をしたが、なかでも浄瑠璃を語るのが上手だった。師走十四日の阿弥陀様の縁日などには、寺で打ち鳴らす鐘の音まで真似して、人々を驚かせていたという。人に化けて浄瑠璃を語る老猫の話に続けて、怪しい猫の芸の一例として書き留められたもので、猫が人の声や物の音を真似るという言い伝えは、この町にいくつも残っていた。
原典より
其寺で打ち鳴らす鐘の真似などまでして人々を驚かして居た。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。