瀬川九平家の赤頭巾の童
どんな伝承か
土淵村字山口に瀬川九平殿という家がある。この家が今から五十年ほど前、まだ分家をしたばかりで、本家と小川を一筋隔てていた頃のことである。家の者が皆畑へ出て誰もいないのに、座敷の障子の隙間から、赤い頭巾を被った赤顔のワラシが、外へ手を出しては引っ込め、また出しては引っ込めして、余念もなく遊んでいるのを、本家の爺様などがよく見たものだという。また家の者が田畑へ出ていて、用があって時ならぬ刻限に帰って来ると、茶の間などで三四歳の子供が戯れ遊ぶような足音がしていたという。土淵村字栃内の厚楽某の話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。