長田家の垂れ下がる赤い手
どんな伝承か
土淵村字火石の長田某という家の座敷に、或る時、家の子供たちが用事があって入って行くと、長押のところから細い赤い手が一本垂れ下がっていた。それはちょうど三四歳の小児の手ほどの大きさで、腕は二尺ほども長く、極めて細く、夏物のようであったという。子供たちは驚いて叫びながら家の人を呼び、連れ立って再び来て見ると、もう何物もいなかった。十年余り前のことで、その後まもなく大洪水があり、この家では土蔵や長屋などを流した。これは細手というものであったらしいと記される。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。