庄之助家の鐘を鳴らす童子
どんな伝承か
土淵村字栃内の火石に、庄之助殿という有福な家があった。近郷切っての旧家で、家の中には色々な神仏の像が祭ってあった。或る日、家の者が皆野良へ出て留守にしていると、神壇の前に掛けてある鐘ががんがんと鳴り出した。隣に住む分家の正福院という山伏法印のもとに来ていた手習いの子供たちが、今は誰もいないはずなのにおかしいと言って駆けつけると、十四五歳ほどのワラシが狼狽して神壇の下の腰棚へ入って隠れた。子供たちも怖くなって騒ぎ、野良の家人に知らせて大勢で戻ると、もう何物もいなかったという。この家にはザシキバッコという婆の怪物もいたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。