庄之助家で相撲を挑む童子
どんな伝承か
同じ庄之助殿の家に、近所の源蔵という男が奉公していたことがある。或る時、表座敷の入口の敷居寄りに寝ていると、夜半頃に奥座敷の方から何物かがつたつたと足音をさせて出て来る。顔を上げて見ると五六歳ほどの子供で、いきなり飛びかかって来て相撲を挑んだ。源蔵はこれしきのワラシをと侮って相手になったが、骨節が堅く手ごたえが強くて、どうかすると却って自分が負けそうになる。小半時ほども組み合ううちに、枕元に脱ぎ捨てておいた草履に手が触れたので、思わずそれを取って頭も顔もめった打ちにした。すると子供は急に力が弱まり、手を掻き抜けて奥座敷へ逃げて行ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。