厚楽家のくすぐる座敷
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どんな伝承か
土淵村字田尻の厚楽という家は、昔はかなり有福な家であった。海岸へ行く馬継場になっていたので毎夜多くの泊まり客があったが、誰一人その奥座敷に寝られる者がなかったという。或る夜、浜辺の客人でがま伊勢という者が、そんなことがあるものかと言ってその座敷に寝た。すると夜半頃、懐に手を入れられて大いにくすぐられる。させまいと起き上がって襟を掻き合わせると、今度は袖口から手を入れてくすぐる。どうにも堪らず、鶏の啼く頃には他の座敷へ逃げ出したという。家の主は悪い畳でもあるものかと言うが、これもザシキワラシに違いないと記される。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。
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