西郡家の河童と詫証文
どんな伝承か
栗橋村字栗林の小笠原嘉兵衛という家にもザシキワラシがいるという。もとは本家の横市にある西郡勘左衛門の家にいたものだと伝わる。西郡の家は立馬七十疋を持つ有福な家で、ある日川原に放した馬が急に暴れて馬舎に駆け込み、夕方に下男が行くと馬槽の下に河童が潜んでいた。捕らえられた河童は、馬を曳きたくて手綱を引いたのだと涙を流して詫び、二度と悪戯をしないという証文を左腕を噛み切った指で書いた。証文は今もこの家に保存され、珍しい客に見せるという。河童はその後川から上がって座敷に入り、そのままザシキワラシになったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。