早池峰山の二面大黒と磐治
どんな伝承か
早池峰山には多くの口碑があり、山の主は美しい若い女神とも、大入道とも、老翁とも、老婆とも、また二面独眼一本脚の二面大黒とも語られる。狩人の磐治がこの山に小屋がけして泊まっていると、夜ごと一本脚二面独眼の怪物が小屋を覗きに来た。三夜目、怪物は小屋へ入り、この山には三面独眼一本脚の主がいて自分を夜ごと追い回すので、明夜これを撃ってほしいと頼む。翌夜、山谷が崩れるような音とともに二面の怪物が逃げ込み、追って来た三面の怪物を磐治は一打ちで仕留めた。二面の怪物は礼にバンヂが洞の桐の林を与え、磐治の桐は尽きなかった。磐治の死後、猿ヶ石川に桐の花が流れることがあったが、その洞を尋ね当てた者はいないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。