鰻の婆から子を守った七月七日
どんな伝承か
酔って道端で寝込んだ酒飲みの男が、真夜中の話し声で目を覚ました。山ノ神と箒神らしい声が、下の村の某の女房の産に行ってきた、生まれた男の子は三つになる年の七月七日に水の物に取られる運を持っていて哀れだと語り、遠ざかった。名指された某は自分で、女房も臨月だったので急いで帰ると、ちょうど男の子が生まれていた。父はひそかに案じ続け、子が三歳になった年の七月七日、子を庭の柱に縄でつなぎ、そばで鎌を研いで見張った。夕方、どこからか婆が来て、かわいい子をなぜつなぐのかと縄を解こうとしたが結び目は解けず、怪しいとにらんだ父が鎌で斬ると、婆は前の小川に入って死に、正体は大きな鰻で、子は難を逃れたという。
原典より
婆はアヤ此人は何をすると叫んで、前の小川に這入って死んだが、それは大きな鰻であつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。