峠で殺された朋輩の骸骨踊り
どんな伝承か
仲のよい上七兵衛と下七兵衛が他国へ出稼ぎに出ると、下七兵衛は金を貯め、上七兵衛は悪い仲間に入った。三年後、下七兵衛は着物や旅費まで整えてやり二人で帰路についたが、上七兵衛は故郷へ入る国境の峠で下七兵衛を斬り殺して金を奪い、村には嘘をついた。やがて博奕で金を失い再び旅に出た上七兵衛が同じ峠に来ると、藪の陰から名を呼ばれ、覗くと骸骨が歯をむき出して笑っていた。骸骨は殺された下七兵衛だと名乗り、箱に入れて連れ歩けば踊って稼がせてやると、骨を鳴らして踊って見せた。評判は城の殿様に届いたが、骸骨は殿様の前では踊らず、鞭打たれると起き上がって峠での殺しを訴え、上七兵衛は磔にされたという。
原典より
上七兵衛は不思議に思って其藪蔭に立寄って覗いて見ると、人間一人前の骸骨があって白歯をむき出してげらげらと笑って居た。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。