糠餅を食べた地蔵が授けた黄金
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どんな伝承か
或る所に貧乏ではあるが正直に暮している夫婦があった。その年も正月が来たが餅を搗く米がないので粉糠餅を搗いた。朝早く若水を汲みに行き、川戸の御水神様に餅を供えようと懐を見ると、入れて来たはずの餅がない。落したかと川端を探して下ると、石地蔵がにかにかと笑っており、頬に粉糠を付けて、ああ来た来た、今御馳走になったところだと言った。男は拝んで帰り、元の川戸から水を汲んで戻ると、水桶がだんだん重くなって一足ごとに難儀になる。不思議に思って家で覗くと、桶の中は水ではなく米や黄金がいっぱい入っていた。地蔵様の御授けだと喜んで俄か長者となった。真似をした隣の慾張り爺の桶には、馬の骨や犬の糞ばかりが入っていた。
原典より
ある所に貧乏ではあるけれども正直に暮して居る夫婦があつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。
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