婆の仇に狸を懲らしめた兎
どんな伝承か
爺が畑で、一粒蒔けば千粒になれと唄いながら豆を蒔いていると、切株に腰かけた狸が毎日はやして邪魔をした。三日目、爺は切株に何かを塗っておき、くっついて動けない狸を縄で縛って吊るし、町へ出かけた。粉を搗く婆に、手伝うから縄を解いてくれと狸がせがみ、解かれると杵で婆を打ち殺して皮をかぶり、婆に化けて汁に煮た。帰った爺はそれを食わされ、狸に嘲られて泣いていた。兎が仇討ちを引き受け、萱山では狸の背負う萱に火をつけ、樺皮山では火傷に樺皮を縫い付け、篠竹山では竹の束で尻を打ちすえた。その後の楢の木船と土船のくだりは、よく知られたカチカチ山と同じ筋だという。
原典より
そのうちに兎は狸の負つた萱に火をつけて、プゥプウと火を吹いた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。